知らせ

10月の半ばに、1通の手紙をもらいました。
私が初めて教壇に立った時の教え子からで、岐阜県の教員採用試験に合格しました、と知らせてくれました。


今では大学4回生の彼女、「先生と中学生の時に出会い、先生のようになりたくて目指した夢でした」と、手紙の中にはありました。
いつもまっすぐできらきらした目で、授業に向かってくれていた彼女を、思い出します。


当時の私は、何もかもが初めてで、4月1日に赴任して、「いきなり授業ですか…!」(←当たり前です)と、何からどうしていいか分からないような状態で…。
当時、授業に持って行っていた(絶対手離せなかった)ノートを、今でも大切に持っています。彼女の手紙を受け取って、久しぶりにそのノートを開いてみたら、1ページ目に「中学校学習指導要領(国語)」が楷書で書き写され、自分なりに一文ずつ言葉を解釈して頑張ろうとしていた様子が伺えました。
新米教師で、技なんて何も持っていなくて、だけど、言葉や本や文章について、伝えたいことは山ほどあったので、当時はただただ一生懸命でした。
それから、普段表立ってめだつことはないけれど、ひたむきに頑張っている子、優しさや思いやりをもっている子、うまく口にできない気持ちを文章に書いている子、自分が気づいた素敵な姿を、当たり前に認めつづけたいと思っていました。
そういうことを、前に立つ自分が言葉にすることで、クラスの中で何かが少しずつ変わっていきました。



今の自分を顧みた時、とても私のように…とは思えないのですが…、たった1年の関わりや出会いで、人生の方向を決めていくこともある、という重みも感じたし、だからこそ悔いのないように向き合えたとも思うし…そういう出会いができたことを、幸せに思います。


彼女の方が、私にたくさんのものを与えてくれて、素敵な出会いだったな。授業が終わると、自分でつくった詩を小さな紙に書いて、見せに来てくれる少女でした。



今日、ようやく彼女に返事を書き、ささやかな贈り物を同封することができました。


離れていますが、これからも陰ながら応援しています。