重い話

tamago-ayako2010-08-02

先月末からニュースになっている、大阪の育児放棄(ネグレクト)の事件…


最初にこのニュースを知った時には、「なんてひどい母親なんだ…」と思いました。


でも、だんだん、事件の背景を知っていくにつれて、自分がこの母と同じ立場だったらどうするだろう…と思うようになり、いたたまれなくなってきました。


3歳と1歳の子が、今年の6月〜7月のあの暑さの中、ドアに粘着テープの貼られた6畳の部屋の中で、どんなふうに死んでいったんだろうと思うと、涙が出てきます。ドアが開いてママが帰ってくるのを待って待って待っていただろうな…お腹が空いてのどが渇いてものすごい暑さで…同じ歳頃の自分の娘たちと重ね合わせずにはいられず、また辛くて辛くてしょうがなくなります。


この母が、2年前まで書いていたブログを見ました。娘を可愛がっていて、お腹にいる子の無事の出産を願って…ごく普通の若い母親だと思いました。どこで変わってしまったのか。
離婚して、1人で子ども2人を引き取って、両方の実家とも連絡を取らず、知り合いが誰もいない大阪で仕事を探して…


でも、今の日本で、ごく普通の母親がこういう状況になることは、紙一重のことだと思えてしょうがないのです。自分も含めて。


だから、もし、自分が彼女と同じ立場だったらどうするだろう…と考えずにはいられない。


孤立しないこと、施設や保育所や行政のあらゆる手段を当たってみること…生活保護児童扶養手当(現在は何度も改訂され、額が少なくなり所得制限も厳しくなっていますが)や母子加算など、行政から受けられる補助はとにかく受けること…。

どこまで助けてもらえるか、どこまでできるか分からないけれど、まずはできる限りの手を尽くすこと…。それでも、過酷な生活になると思う。


現在の日本の、子どもがいるひとり親世帯の貧困率は54.3%(07年)で、およそ2人に1人の割合だそうです。しかも、そうした家庭のひとり親の多くは、働いているのに貧困から抜け出せないワーキングプア。今の日本の社会の過酷さを思います…。他人事ではなく。


今回の事件の母親が、孤独に子育てをしていたことが本当に哀しい。
「助けて」と言える場所が、どこかになかったんだろうか、どこにもなかったんだろうか…。


なんとか生き延びる方法を、考えなければと思います。子どもたちを生きさせなければ。
紙一重だと思う、自分も。だけど、そうなってはいけない、そうならないように、どこかで踏ん張らなければ。


「母の友」2010年8月号も、「子どもの貧困」について考える特集を組んでいました。読み返す夜です。



母親だけが責められる事件ではないんじゃないかと思う。もちろん、決して決して許されることじゃない。でも。彼女を孤独にしてしまったすべてのものに責任があるんじゃないか…。



他人事とは思えない。自分もそうなるかもしれない。だけど、そうなってはいけない…。
改めて子どもを産み育てるということの責任の重さと、子どもを抱えてこの社会で生きることの過酷さをを思いました。様々な意味で、孤独になってはいけない、とも思いました。子どもがいたら尚更。



小さな子どもたちが、今はどうか安らかな場所にいられますように…。