正倉院展へ

tamago-ayako2009-10-29

奈良の秋といえば…「正倉院展」です。
10/24〜11/12まで、奈良国立博物館にて「第61回正倉院展」が開催されています。


…という私も、過去に「正倉院展」に行ったのは、大学3回生の時に万葉集のゼミで行った時のみ(yu-na mama、懐かしいね〜)。
確か休日に先生に連れられてゼミのみんなで行ったのですが、ものすごい人だったこと、そして憶えているのは、その年に出展されたもののひとつに、有名な「蘭奢待(らんじゃたい・正式名称は黄熟香)」という香木があり、織田信長が切り取った跡があったこと…(それを人山に埋もれながら見た記憶…)。
とにかく人が多かったことに辟易しながらも、そういうことすらぼんやりと忘れていってしまうような、時の流れのようなもの、生々しいものが、10年経った今もじんわりと心に残っている、大切な記憶のひとつです。


土日はものすごい人だし、遠くに住んでいたら行くのは大変なのですが、奈良に住むようになって行きたい行きたいと思い続けて4度目の今秋、ようやく平日に行くことができました。(…思えば京子がまだお腹にいた1年目には行こうと思えば行けた…けど気合いが足りなかった…。)
しかも、訳あって、2回行きました。
さらに書かせていただくならば…学生料金で入ることができました〜(^^)。



2日とも、平日の昼間に1人で行きました。1日目は11時頃に行って30分待ち(だけど流れていたのでしんどさは感じませんでした)、2日目は12時半頃に15分ほどで入れました。


今年の見どころのひとつは、光明皇后直筆の書「楽毅論」。正倉院展では、第1回以来、60年ぶりの出展です。
(実は私は1日目に、人だかりに埋もれてこれを見逃してしまったのです…どうしても見たくてもう一度行きました。。)
想像していたよりもずっと、こぢんまりとしたものでした。そしてそれは普段、聖武天皇の書などと一緒に、あけびのつるで作られた簡素な箱に納められているそうです(その箱も書の隣に展示されていました)。
間近でその筆跡を見ると、その人が伝わってくるようで、不思議な心地がしました。女性にしては、筆の運びが力強く、そこかしこに人柄がにじんでいるような、そしてやっぱり普通の人ではないことを思わせるような書でした。
10年以上前、京都国立博物館で、空海の書「風信帖」を見たことがあり、その時のことも心に残っていますが、今回「楽毅論」を見ることができたことも、とてもよかった。


聖武天皇が腰に下げて身を飾ったという、美しい象牙の小刀も出ていました。
それから、ポスターにもなっている、紫檀の琵琶や、美しい夜光貝でぎっしりと飾られた鏡。


これを腰に下げていた人が確かにいたのだな…とか、これを遣唐使がものすごい苦労をして持ち帰ってきたのだな…とか、そして唐に入る前にどんな人が作ってどんな砂漠を通ってどんな人が運んできたんだろう…とか、そういうことをじんわり感じながら、浸りながら、いい時間でした。
今も、目にした宝物の形とか、色とか、雰囲気とか、心に浮かんできます。


私の場合、やっぱりこういう展覧会は1人で行くに限ります。
自分のペースで見たいものを気ままに見られるし、自分の考えに浸れるし、気を遣わないし…。


今年は66件の宝物が出展されています。
ぜひ、奈良へは今の季節の平日に、足をお運びください。一番いい季節だと思います。(東大寺の一番大切な宝物が虫干しされる季節ですし(^^))



奈良国立博物館の庭。お茶室もあります。


お茶席がありました。庭を眺めながら、花喰い鳥をモチーフにしたお菓子とお抹茶をいただき、ほっとひと息。


↑ 荒池から興福寺五重塔


1日目は、奈良市立図書館へ資料収集にも行ったので、ならまち方面に足をのばしました。

以前から気になっていたカフェ「カナカナ」でごはん。


↑ この日の「カナカナごはん」。体にしみこむごはんでした。



↑ 猿沢の池で、日なたぼっこをする亀たち。これは娘たちにも見せたいな〜。また一緒に見に来よう。




興福寺五重塔も、光明皇后の祈願により創建されたものだそうです(現在の塔は6代目で室町時代に建てられたもの)。



学生時代に京都にいた頃には、時間ができればお寺や博物館に出かけていました。奈良に住むようになってからは、子育てに追われ、なかなかゆっくり奈良を見に出かけられていませんでしたが、これからやはり少しずつ「奈良」を知るために出かけたいなあと思います。
平日の昼間に電車で15分で「正倉院展」を見に出かけられるという恵まれた環境も、今だけかもしれない…。行ける時に足を運んでおきたいものです。