ぐりとぐらとすみれちゃん

今日の展覧会で、私がちょっと涙ぐんでしまったのは、『ぐりとぐらとすみれちゃん』の原画を見た時。

この絵本は、4歳で亡くなった実在の女の子、「すみれちゃん」をモデルに作られたものだという。私は今日の原画展で説明書きを読むまで、そのことを知らなかった。すみれちゃんが亡くなった後、「ぐりとぐら」のお話が大好きだったすみれちゃんのご両親と作者の中川李枝子さんの間で文通が始まり、絵本の中ですみれちゃんがずっとずっと楽しく生き続けられるようにという中川さんの思いを込めて、作られた絵本なのだそうだ。画家の山脇百合子さんは、実在したすみれちゃんの写真をもとに、この絵本の挿し絵を描いた。
絵本の中では、庭の畑で野菜作りを楽しんでいるぐりとぐらのところへ、すみれちゃんが大きなかぼちゃを入れたリュックをしょってやって来る。その大きなかぼちゃを、森の動物たちも一緒に、みんなで楽しくお料理して食べて、空が夕焼けに染まる頃、すみれちゃんはすみれはらっぱへと帰っていく。そして最後に、ぐりとぐらはすみれちゃんがくれた「すみれかぼちゃ」の種を、庭の畑にうめる。…なんというか、涙が出てきてしまった。この絵本は、ただ読んでいたら、涙の出るお話ではないのに。そういう、絵本が生まれたバックグラウンドに触れることができたことも、今日の展覧会で私の心に響いた素敵なことのひとつだった。京子も、かぼちゃが大好物なので、次に京子の本棚に加えたいと思う1冊になった。


心に残る1日になりました。