「ブーッ!」を越えて

昨日から3月。京子との散歩も、春風に吹かれながら。京子の髪が、風にふわふわなびいて、とても気持ち良さそうだ。そして京子はついに11か月を迎えた。京子が生まれた日まで、あと1か月。


ところで…、先週の半ばくらいから、離乳食のとき、京子の「ブーッ!」に悩まされるようになった。京子の離乳食は1月の初めに3回食になってからほぼ毎日ずっと、

  • 朝食…おじや(粉末のいりこだし・すりおろしにんじん・卵)、野菜マッシュ(かぼちゃ・にんじん・バター・卵黄)、ヨーグルト
  • 昼食…パン粥かおじや、バナナ
  • 夕食…おじや、しらす干し(湯通ししてみじん切り)、味噌汁の具(里芋・大根など)、すりおろしりんご

というメニューだったのだけれど、飽きてきた様子もないし、お通じも1日2回だいたい決まった時間にあるし、調子がいいので、相変わらず続けていた。2月の初め頃、そろそろメニューに変化をつけようかなと思った矢先に、風邪から気管支炎になり、京子の食欲もなくなったので、またお粥に戻った。お粥からおじやに、そしてまたこの定番メニューにようやく戻ってきたところで、京子の「ブーッ!」が始まった。
ちょうど同じ頃、上の前歯2本が生え始めたので、歯茎がかゆいのかな、とも思った。それもあるのかもしれないけれど、「ブーッ!」とやるメニューの筆頭は、私がせっせと作った卵とにんじんのおじや。そしてこれまたせっせと作った野菜マッシュ(どっちも簡単やけどさ…でもなあ…)。すりおろしりんごやヨーグルトでは、やらない。やっぱりおじやに飽きてきたのかな…と思って、試しに買い置きしてあったレトルトのベビーフードの「鶏ときのこのうどん」をあげてみたら、一度も「ブーッ!」とやらずに食べた…。市の離乳食講座でもらった資料の離乳食後期のあたりに、「そろそろ献立に変化をつけましょう」とか書いてあったけれど、どうやら変化をつけなければならない時期がきたようだ…。
ビーフードは、これまでほとんど使ったことがなかった。便利やろなあ〜と思って、スーパーや薬局のベビーフードの棚をよく眺めるのだけれど、その瓶詰めや箱を見ているうちに、「これやったらうちで簡単に作れそうやなあ…」と思い、結局買わずに今まできた。でも今後は、献立に変化をつけたいけれどメニューに困ったとき、時間のないときなどに、時々使うのは便利かも、と思う。
先週の土日は、京子の「ブーッ!」にちょっとうんざりしていた。さすがに毎食の「ブーッ!」には、こちらもちょっとイラッとしてくる。なんといっても自分がせっせと作ったものだし。顔にかかるし。それに、前ほど量を食べないし、これでいいのかな…と心配にもなってくる。
火曜日、桶谷式の母乳育児相談室に行ったとき、8か月の赤ちゃんを連れたお母さんが、先生に「そろそろ2回食にしなきゃいけないんですけど、まだ1回なんです」と相談していた。そうしたら先生は、「そんな急がんでええよ。母乳をしっかり飲ませておけば大丈夫。断乳したら、ちゃんと食べるようになるから。女の子で170cm以上もある大きい子にどうしてもしたい、って言うんなら別やけど、そんなに頑張って大きくせんでもええんちがうの?栄養不良はあかんけど、1年でだいたい9㎏ぐらいになっとったらええんやから、ちゃんと健康でしっかりおっぱい飲んどったら、ええやないの」。
…「そんなに頑張って大きくせんでもええんちがうの?」、という先生のこの一言が、なんだかそのとき私の心をふうっと楽にさせた。当たり前のことかもしれないけど、目からウロコが落ちるみたいだった。母親はとにかく「離乳食をしっかり食べさせなければ」「体重がちゃんと増えていかなければ」と、必死になっていて、いろんなことが見えにくくなっている。こんな当たり前のことだけれど、誰かに言ってもらってやっと、気づく。
夫にその話をすると、「そうやな。だいだい京ちゃん、2時間半か3時間おきに母乳をしっかり飲んどるんやから、栄養は十分足りてると思うで」。言われてみれば、その通りだと思う。体重もとっくに9㎏を越えている。健康である。今まで、「これだけの量は食べないと」と心のどこかで思っていた離乳食、いつの間にか縛られていた何かに開放されたように、心が楽になった。
献立に少し変化をつけるようになってから、京子の「ブーッ!」はなくなった。かつお節で炊いたしらす干しのお粥や、大根の味噌汁、野菜スープ、かつお節と小松菜と卵のおじやなど。野菜も、ドロドロのマッシュより歯茎でつぶせるくらいの形のあるもののほうが、いいようだ。それから私が、「まあこれだけ食べたら十分やな」と、気楽に思うようになったこと。朝、味噌汁やスープなどの汁物を炊いておくと楽だ。自分も朝と昼に食べられるし、具にも変化をつけられる。「ブーッ!」っとされないように、あれやこれや試行錯誤しているうちに、自然とメニューにも変化がつきそうだ…。今朝は、京子に離乳食を食べさせながら、自分もご飯を食べていて、ふと「ご飯食べるかな」と思って、少しあげてみた。おじやよりも喜んで、大きな口を開けてパクパク食べた。今日は、京子が初めてご飯を食べた日である。