母乳のこと

入院中から母乳をがんばっている。病院の助産師さんや看護婦さんからは「すごく分泌がいいから、母乳だけでいけるよ」と言われた。最近は時間が経つと胸が張ってくる。そんな頃に京子がお腹をすかせて泣き出すので、京子に飲んでもらうと私の体が楽になる。お母さんと赤ちゃんは、つくづく自然にバランスがとれるようになっているのだと感心する。
昼間は母乳だけで満足している様子なのだが、夜になると母乳を飲んだあとまだ足りない様子だ。すでに私の胸は張りがとれてやわらかくなっているので、もう母乳はあんまり出ないのだろうと思い、その都度京子が満足するだけの量のミルクを与えていた。さかごの相談などでお世話になったi市の助産師のO先生に電話をして出産の報告をしたときに、少しミルクを足している話をすると、「赤ちゃんにしっかり飲んでもらうとどんどん出るようになるわよ」と言われた。O先生の言葉はいつも不思議で、私の気持ちを楽にしてくれたり大きなヒントになったりする。このときの「赤ちゃんにしっかり」という言葉も「ああそうか」と不思議に私の中に落ちた。それからは、最初に病院で言われた「片方5分ずつ2往復20分間」というのをあまり気にせずに、京子が自然に口を離すまでしっかり飲ませるように心がけはじめた。
昨日、母が隣町に母乳のマッサージで有名な助産院があるという情報を仕入れてきた。その助産院の噂は私も友人から聞いたことがあった。彼女が「噴水のように母乳が出た」と興奮して話していたことを思い出す。母の知人のお嫁さんも「全然出なかったのがすっごい出るようになった」と言う。昨日たまたま電話で話したお茶の先生も「とってもいいところよー!体もすごく楽になるし。私も産後にだいぶ通った。そりゃあもう、最後には母乳が天井まで届くくらい噴き出すでね。すごいわよ。タオルをたくさん持って行かないとだめよ」と言う。
みんなが口をそろえて「すっごい」と言うその助産院に、来週母と行ってみようかという話になった。今日早速予約の電話をしたとき、その助産院の助産師さんに、胸の張りがとれてもまだ欲しがるときにミルクを与えている話をすると「そこからさらに与えるともっと出るようになりますよ。お母さんのおっぱいは魔法のタンクで、赤ちゃんが欲しがるとやわらかくなったところからさらに湧き出てくるんです。その母乳がとってもいいんですよ。きっと母乳だけで足りるはずですから、時間がかかっても与えてみてください」と言われた。
…そうだったのか。私はやわらかくなったらもう出ないのかと思っていた。1週間後に行くことになったので、この1週間ミルクを足さずに母乳だけでがんばってみようかな。きっとできるような気がしてきた。