子どもへのまなざし

今日、友人のWさん親子と一緒に公園で遊び、お弁当(おにぎり)を食べた。
(またゆっくり書きたいなと思っているんだけれど、10月に入って以来、この3週間ほど、天気のいい日は毎日京子と公園でランチしています♪)


Wさんちのジュンくんと京子と一緒に、公園のベンチでおにぎりを食べている時に、Wさんが、「そういえば、少し前に『子どもへのまなざし』っていう本を読んで、その話もtamagoさんにしたいと思っていたんだけれど…知ってる?」と言った。


子どもへのまなざし (福音館の単行本)

子どもへのまなざし (福音館の単行本)


私は、10年ほど前、この本が初めて出版された時に、児童書の販売を営む両親に薦められて読んだ(「いずれ親になるなら、読むべき」と)。この本との出会いが、その後、私が中学校で子どもたちに接することになった時、心の奥深いところで、いつも支えになっていたように思う。
その後、著者である児童精神科医佐々木正美先生のお話を聴く機会にも、何度か恵まれた(ちなみに私の本は、佐々木先生のサイン入り♪…)。その折に先生が話されたことで、今も私が忘れられない言葉のひとつが(『子どもへのまなざし』の中でも触れられている)、「子どもは、どの子も必ずいいものをもっている」。
この先生の言葉を、中学校の相談室を担当した時、そして自分が教壇に立つようになった時、初めてクラスを担任することになった時、いつも絶対に忘れずに、心にもっておこうと思った。そして、実際ほんとうにその通りだったと、私は今も思っている。


Wさんは、何かの雑誌で、小児科医の先生が薦める育児書の第1位が、『子どもへのまなざし』だったので、図書館で借りて読んでみたのだそうだ。「本当に、育児の基本だと思った」と言う。「励まされた」と。そして、この本を読んでいる時に、なぜだか私のことを思い出したのだそうだ。これは、なんだかすごく嬉しい一言だった。
私が『子どもへのまなざし』を初めて読んでから、10年。今も、私にとって最も大切な本の中の1冊で、いつでもすぐ手に取れる棚に置いてある。しかし、私が前回この本を開いたのは、学校に勤めていた時。恥ずかしながら、京子が生まれてからは、手近な棚にありながら、一度も開いていなかった…。


Wさんと別れて家に帰ってから、本当に久しぶりに『子どもへのまなざし』を取り出して(少しホコリを払って…)、開いてみた。
ぱらぱらと目次に目を通しながら、ああこれは、子どもをもつようになった今こそ、再び読まなければならない本だ、と思った。そして、最後の方の「子どもとの今の時間をたいせつに」という項に目が留まったので、何気なくそのページを開いてつらつらと読んでみた。そして、こんな文章を読んで、思わず涙が出てしまった。


「…子どもの気持ちというのは、お母さんやお父さんに、ちょっとしたことをしてもらったということ、また、してもらえなかったことは心の深いところに残るものなのです。…(中略)…
…保母さんから聞いたお話なのですが、休日のつぎの日に、『お休みのときなにをしていたの』と、子どもたちに話してもらうことがよくあるそうです。すると、子どもたちは『ディズニーランドにいった』、『シーパラダイスにいった』、『デパートに買い物にいって、いいものを買ってもらった』などと口ぐちにいいます。そのなかで、とても印象的だったのは、『きのうね、お母さんがつめを切ってくれたの』という子どもの話でした。お母さんのひざの上にだっこされながら、お母さんの肌のあたたかさを感じながら、つめを切ってもらった記憶が、とてもいいイメージで、その子どもの心に残ったのでしょうね。そういう言い方だったと保母さんはいっていました。
どこか遠くへ連れていかなくても、なにか特別なことをしなくても、子どもの心にとどく、親子のふれあいはできるのですね。子どもと一緒にいる時間を、たいせつにする気持ちがあれば、子どもにきっと伝わるのです。保母さんの話を聞きながら、こういうお母さんがもっとふえてくれるといいと思いました。」


…ああ、自分は、こんなふうに京子を育てたい、と思う。夫もきっと、同じ気持ちだろう(…たぶんこの本はまだ読んでいないと思うけど)。
今までに、私がこの本を薦めた友人は1人だけで、その人はかつて同じ学校で机を並べて仕事をしていた、とても本の好きな講師の先生だった。当時は、私も彼女もまだ独身だった。
今は、私の周りにも子育てをしている友人が増えてきたので、あらためてこの本をいろんな人に知ってもらえたら…と思う。また、よい出会いがありますように…。



ちなみに、読者からのたくさんの質問に答えた続編も出版されています。

続 子どもへのまなざし (福音館の単行本)

続 子どもへのまなざし (福音館の単行本)



それにしても、私の場合、親がそういう仕事をしていなかったら、まず自分から読むことはなかった本だと思うのに(実際、私は、巷に溢れる育児雑誌・育児書の類は、どちらかというと避けてます…)、この本を自ら読んだWさんは、なんて勉強熱心…。